紬って読めます?
まず初歩的なことですが、紬って読めますか? 糸へんに由と書いて「つむぎ」と言います。 着物を着る方でしたらもちろんご存じだと思うんですが、一般にはあまり普及していない漢字ですよね。
以前、東京のお寿司屋さんに行って領収書を頂くために名刺を渡したんです。 名刺に「小岩井紬工房」と書いてあるのでその宛名で領収書を発行してくれるかと思ったんですが、紬のところが少し間違って書かれていたことがありました。 口頭で「こいわいつむぎこうぼう」でと伝えた場合も紬ではなく紡ぎと書かれたこともありました。
どの業界でもあるあるネタですけど、業界では常識なことが一般的には浸透率が低いことってありますよね。 着物業界では紬がその1つなのかもしれません。
紬ってそもそも何なのか?
では紬とはそもそも何なのかと言いますと原料は絹、つまり繭です。
一般的な絹糸は繭から直接糸を引きます。(製糸という工程) 紬の場合は全く異なる作り方をしていきます。

まずは真綿を作る
紬を作る前に繭を一度真綿に崩していく工程があります。
繭をお湯に入れて繭を固めている水溶性のたんぱく質(セリシン)を溶かし、中の蛹(さなぎ)を取り出して広げて真綿を作っていきます。
真綿は袋真綿と角真綿の2種類あって、それぞれ作り方も特性も異なります。

真綿から糸を紡ぐ、それが紬!
出来上がった真綿から人の手で糸を紡いで出来上がった糸が紬糸です。 絹は光沢がありますが、繭を真綿にして紡いだ紬糸は光沢は抑えられてふんわりとした柔らかい風合いが特徴です。
また、人の手で糸にしているので糸の太さは不均一でところどころ節が出来るのが紬の味わいのある風合いになっています。
紬糸を用いて織られたので上田紬という名前がついたんです。
